とりあえず現段階でのまとめ

337 夢中[sage] 2010/01/14(木) 14:01:12 ID:Yx8/hwf7




龍の部屋に入るなり、あたしはなぜか部屋の壁に押さえ付けられた。

「えっ、な、なに龍」
「いーから」

そう言って、龍はするりとあたしの太ももを撫で上げて、そのまま大事な所に侵入して来ようとする。

「ちょっ、ちょっと龍!」

なにがっついてんの!
ってか、濡れてるわけないじゃん!

「黙って」

あたしの反論を閉じ込めるように、龍の唇があたしのそれを塞ぐ。
あー……今日は、そんな気分じゃなかったのに。そんな気分じゃ、なかったはず、なのに。

「ふ、うっ」

あたしの舌が龍に絡め取られて、どうでも良くなって来る。
じわり、とあたしから何かが染み出したのがわかる。それを龍はキスをしながら指で撫でる。

あぁ、もう。
あんた、そんなに器用だった?
知らない龍が多過ぎる。知る度に、あたしドキドキする。

龍にドキドキするなんて、思わなかった。
どうすんの、あたし。
こんなに龍に夢中になっちゃって、どうすんの。


「何考えてる?」

龍は、やっとあたしの口を解放すると、一言そう言った。
でも、あたしの中を這いはじめた指は、ひっきりなしに動いている。

「うっ、あ、は、ば……っ、ばかじゃないのっ……!」

言えるわけないじゃん。頭真っ白になりかけてんのに、言えるわけないじゃん。
そうじゃなくても、そんな恥ずかしいこと言えるわけないじゃん。

338 夢中[sage] 2010/01/14(木) 14:02:12 ID:Yx8/hwf7
「千鶴」

耳元で!名前を呼ぶんじゃねぇよ……!
足が、足がもうっ……

「俺につかまればいい」

龍はそう言うと、余っている片手で、あたしの手を取る。
そのまま龍の首に手をかけさせられれば、あたしは龍にぶら下がるみたいな格好になって。

必死で足を突っ張ろうとしてみても、龍のごつごつとした指が、なぜか繊細にあたしの中を這い回って、もう、無理だ。
無理なんだってば。

やめてよ。認めるから。
龍に夢中なんだって認めるから。

これ以上夢中にさせないで欲しい。


龍の部屋に、いやらしい音が響く。
それがあたしから出ている音だとわかるから、もうたまんないくらい恥ずかしい。

やめて、龍、やめて。


でもやっぱやめないで、とか思ってる自分が恥ずかしい。

「千鶴の声、めちゃくちゃクる――」

なんだよ、それ。
聞くなよ。嫌なら、こんな声出させないでよ。

朦朧とした意識のあたしに、ジッパーを下げる音とか、パリパリ袋を開ける音とか、いろいろ聞こえるんだけど、あたしは龍の首にぶら下がったまま。

あたしの下着が取り払われたとき、『あ。』と思ったけど、そんなのホント一瞬で。


「……あァっ!」

気付けばあたしは、片足を龍に持ち上げられていて、龍はあたしの中に入って来ていた。

なんか、なんか。

「はっあ……や、野獣みたい…………」

どーせなら、ベッドでしたい、のに。

「しょーがねーだろ」

339 夢中[sage] 2010/01/14(木) 14:03:03 ID:Yx8/hwf7




龍はそう言うと、辛うじて床に着いている方のあたしの足に手を掛ける。

「やっ……!待って、龍!」

すごい恥ずかしい体制が想像出来て、龍にストップを掛けるんだけど、そんなのが龍に効くはずもない。

「はっ恥ずかし……!」

抱っこちゃんみたいに、あたし今龍に絡み付いてる。
服着て飛び付いてるならまだ耐えようもあるだろうけど、いや、服はほとんど着たままなんだけど。
あたしたちは今しっかり繋がっている。

龍にしがみついてなきゃ落ちちゃいそうで、でも引力に逆らってそそり立つ龍のそこが、深くあたしに突き刺さって。
もう、何を考えたらいいのかわからない。
どこに集中したらいいかわからない。


そのままゆさゆさと揺らされたら、逆らうことなくあたしの身体が上下する。
やってることは子供じゃないのに、何かなだめられてる子供みたい。

とか思ってたら、龍がぼそっと呟いた。

「千鶴は俺のことだけ考えてればいい」

考えてる。
考えてるよ。龍のことだけ。

今は意味のある言葉が出せないから、答えるように強く龍にしがみついた。

「千鶴……っ!千鶴!」

果てるときの龍の癖。あたしの名前を何度も繰り返して呼ぶ。
あたしはそれを聞くと、龍が愛しくて仕方なくなる。

「……りゅう…………っ」



340 夢中[sage] 2010/01/14(木) 14:03:46 ID:Yx8/hwf7
***

「千鶴、もっかい」

龍が後処理をする間、あたしはころんと龍のベッドに寝かされた。
そこへ龍がのしかかって来る。

「やだ」

「もっかい」

さっきみたいのは、もうやだ。
あたしはじっと龍を見上げる。

「やだってば」

じ、と龍はあたしを見てくる。これは、あたしの言葉を待ってる時。
だからあたし、嫌だって言ってるじゃん。

「…………」
「…………」

しばし無言で見つめ合う。いや、違う。一応これで会話になっているんだ。
どっちが折れるのかって。

「…………」
「……服くらいはちゃんと脱がして」

決まって折れるのはあたしの方なんだ。悔しいけど。

あーあ。
あたし、龍に甘いって。甘すぎるって。


でも、たまにしか見せないうれしそうな顔は、多分知ってるのはあたしだけ。
それだけで、あたしは満足しちゃうんだ。



おわり
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